1人読書会:「巨石―イギリス・アイルランドの古代を歩く」山田 英春:巨石に遺跡、古墳にストーンサークルそしてイギリス好きには大満足の本

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山田 英春さんの「巨石―イギリス・アイルランドの古代を歩く」(早川書房)、ものすごく良かった。
巨石好き、遺跡好き、古墳好き、ストーンサークル好き、イギリス好きには本当におススメ。

いきなり自分の話を始めますけど、
十代の頃に仁徳陵古墳の航空写真を見て「日本にこんなものがあるのか!」と非常に衝撃を受けて、ずっと気になりつつも実際に現地に行ったのはつい数年前。
大阪に山下達郎のライブに行ったついでに、仁徳陵古墳とその周辺の百舌鳥古墳群探索をしてみたのですが、まあ楽しかったのです。
暑い中、重い荷物を抱えて歩き回りながら見た、木々に覆われた大きな古墳と水の豊かな堀。そして普通の住宅街という日常の合間に潜む古墳。
たしかGW中だったのですが、古墳を訪れる人は少なく、ひっそり感も良く。
それから古墳がますます気になって、古墳探索をライフワークにしたいわーなんてことを思ってました。
でまた数年前、イギリスの湖水地方を旅したとき、
ガイドブックの片隅に小さくストーンサークルがあると記載があって
「ヒマだし古墳好きだし行ってみるか」と、
微妙にアクセスの悪いCastleriggのストーンサークルに行ってみたら、
そしたらもう!素敵なことと言ったら!

その時撮った写真これですが、こんなんですよ!なにここ!素敵過ぎる!!
写真撮ったり石に座ってみたりダラダラ過ごしていたら、近くに住んでるというおじさんが石の影の長さなんかを測量しに来たりして。
それが仕事なのか趣味なのかボランティアなのかは忘れましたが、そういう生活がしたい!と思いましたよ。毎日影の長さを測って、「・・・やはり!」とか言ったりね、したい。おじさんは黙って淡々と測ってましたが。
そのおじさんが言うには、それぞれの石はその背後の山の高さに一致してるとも言われていると。夏至だか冬至だかには太陽と影が何かに重なる、とか。ちゃんと覚えてないけど、いろいろ教えてくれて。
と、まだまだ喋りたい事あるのですが、いい加減に本の話に入ります。
この本は写真も大きくて綺麗で素敵だし(写真に愛がある)、
文章は歴史的な面からの説明と、伝説・逸話の情報と著者の感想も盛り込まれていて、とてもバランスが良いのです。
あとがきで、巨石遺跡に意味を持たせすぎる人を軽くディスってたけど笑、
そういう冷静さと好きという両方の視点を持っているから
押しつけがましさがなくて、とても良い本になったのだと思う。
本にある地図と写真と文章を見比べながら、時間をかけてじっくり読みました。
それにしても、こんなにたくさん巨石遺跡があるのかという驚きと(数百個とか千個とかいう単位)、いろんなパターン・バラエティがあるという驚きと、
いろいろ驚いた(言いたいことが沢山ありすぎて結局言い方が雑になるw)
メジャーなのはストーンヘンジだけど、それだけじゃないのよね。
そういえば、Castleriggに感動した後に大英博物館に行って、巨石文化エリア(だっけ?)をワクワクしながら見たけど、割と扱い小さくてあっさりしてて、
「イギリスではあまり重要じゃないのかしら?」なんて思ったけど
良く考えたら、巨石を持ってきて陳列する訳にもいかないから、あっさりしてたのかしら?
 
イギリスは、ワーズワースの旅行記を読んでハイランド地方に行きたい、でもちと遠い、と思っていたけど、この本読んだらもうハイランドどころではない。
その先のオークニー諸島とかルイス島とか島々も行かないといけないし、ウェールズも押さえないと。
アイルランドもBernard MacLavertyの小説読んで、
行ってみたいが何を見たらよいのか分からないな、と思っていたけど
遺跡沢山だし、島一周しないといけない。
特に本の最後に出てきた、アイルランドのニューグレンジ、ナウスの遺跡にはびっくりした。大きいし、高度だし、石の文様も素敵だし、月の満ち欠けカレンダーがあるし。冬至の太陽が内部をまっすぐ照らすとか。
南米ナスカあたりの建物でも、特定の時期の太陽の光を利用した遺跡があったと思うけど、そういうのが共通してるんだなあとか。
すごく面白い。
面白い一方で、とはいえ、昔の終わったことの話だし、いくら頑張って追って分かったとしても「昔の人はこうだった」という過去の話だから、あまりにハマるのも建設的でない気もする。
でも気になるし、素敵だと思うのは、やっぱりこの本のあとがきにあった話と同じ。好きなんだな、という結論。
そういう温度感もちょうど良いから、この本がものすごく楽しく読めたんだろうな。
ああ、遺跡を訪ねて回りたい。行きたい場所が増えすぎて困る。
そうは言ってもなかなか行けないので、せめて遺跡系のイベントやりたい。
(著者の山田英春さんのイベントやれないかな、とそっと言ってみる。。)
 
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