2020年の個人的な読書記録:24冊読了

この記事は約12分で読めます。

毎年読書記録アップしてたので新年も20日も過ぎてしまいましたが昨年の記録をアップします。
コロナで暇だったのが寄与している部分と、希望のない状態で暇すぎても読む気力も失われるという側面が絡み合っての去年24冊。そこそこ。
8割くらいは非常に面白い本でおススメです。ベスト本とかトップ何冊とかは絞り切れず断念。
リンク先に感想と思いつきで記録したコメントがあります。
新年は漱石の「彼岸過迄」と「女帝小池百合子」でスタート。
新年1曲目はCurtis MayfieldのMove On Up (https://www.youtube.com/watch?v=6Z66wVo7uNw)でした。
過去分はこちら
2019年の個人的な読書記録:19冊読了
https://tomosu-lab.com/book2019/
2018年の個人的な読書記録:28冊読了
https://tomosu-lab.com/book2018/
2017年の個人的な読書記録:34冊読了
https://tomosu-lab.com/post-2094/
2020年の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:6078
ナイス数:285

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える感想
自分自身の不可解な行動の理由が貧乏人の行動原理と同じであると判明してしまった(笑)若い女子の妊娠理由が年上に養ってもらうためとかは驚きで、末端の現象だけを問題視しても意味無いんだなと。最近アフリカの不可解さは心理学的アプローチで理解を追求すればよいのかもと考えていたのでそれに沿う気がした。全体的に面白かったのだが、様々な事例がたくさん物語風にダラダラ出てくるので読んでいて結局何だったのかが頭に残らない。もう少し簡潔に纏めて書いてほしいと一つ前の米国本でも思った。米国式記述に慣れていないのだろうか。
読了日:01月23日 著者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ
ケミストリー (新潮クレスト・ブックス)ケミストリー (新潮クレスト・ブックス)感想
図書館の新書コーナーにあったので何となく読んでみたが、予想外に物凄く面白かった。中国人移民としての子供と親、中国人の親子関係と期待、ネイティブとの違いと違和感、親を見ていての将来への不安、愛情表現がオープンな米国と抑圧の中国。移民文学をほぼ読んだことが無かったので、そういうのあるんだろうなーというのと、日本もどちらかといえばアジアの中国寄りだな、とか発見と共感が沢山。原書見てないけどこの文体は翻訳難しそう。違和感は無かったので翻訳上手そう。だが文体が現代感強くて時代を経ても読めるのか余計な心配
読了日:02月08日 著者:ウェイク ワン
イスラム教の論理(新潮新書)イスラム教の論理(新潮新書)感想
イスラム教の基本的な考え方、多発的に発生するテロの理由などよく分かる良い本なのだが、そうするとイスラムと併存することは難しく、取り込まれるか絶滅させるかしかないような気がしてくる。そもそもなぜこの宗教がこんなに大きく拡大して、今も増え続けているのか、宗教と社会の関係などが気になってくる。来世思想は日本でも流行った時期はあったはずだが今は宗教自体の存在感が低下してる。先進国はだいだいそう。文明や経済の進歩と宗教の関係や、この先どうなるのか、イスラムに限らず大局としての歴史と今後が気になる
読了日:03月01日 著者:飯山陽
ヘミングウェイ短篇集 (ちくま文庫)ヘミングウェイ短篇集 (ちくま文庫)感想
「キリマンジャロの雪」が読書会の課題作だったので、初めてヘミングウェイを読んだが非常に面白くて驚いた。今まで読んでこなかったのを残念に思うくらい。特に闘牛士の話が切なく良かった。闘牛にあんなに登場人物と役割とストーリーがあるとは知らず、深い世界だ。理解が進むような動画を探したがいいのが見つからなかった。「白い象のような山並み」もよく、避妊の話かと思ったがググったら堕胎の話で自分の理解力にがっかり(笑)しかし金持ちを捕まえたり才能あったりでも最後は自殺って幸せって何だか分からないな。
読了日:03月08日 著者:ヘミングウェイ
キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)感想
読書会前に駆け込み読了。面白かった。途中から主人公がひたすら切なくて、でも最後に裕福な息子の家に帰ってしまって、自分には全てを捨てるような覚悟は無かったんかい、とガッカリしたけど最後は山に戻って良かった。コロナのこの時期で一層考えさせられる。変化を止めることは出来ないし、でも外部要因で揺り戻されることもあるから好きなだけ進んだら良いのではという自分的結論。良かったのは3つ目のブワナの章。痛い目に合う悪役だけどこれぞ若きアフリカ人のカッコよさ!というのがバリバリで良かった。傲慢で美しく強いアフリカ人の話

読了日:04月11日 著者:マイク レズニック
ケータイ「万能」フランス語文法ケータイ「万能」フランス語文法感想
数年前に購入して放置していたがようやく通読。休み休みで半年くらいかかったかも。この数年フランス語をやっているハズなのに感想としては「こんなに時制の種類があったのか!」今まで何をしていたのかと我ながら疑問w
一読だけでは頭に入らないので、例文を覚えたいが出来るか。とても分かりやすく、時々筆者の意見や思いが書かれていたのもよかった。ロイヤル英文法を通読した時も案外筆者の想いが面白かった記憶。何度か読み返したい。時制以外はバラバラになってた情報の整理になってよかった。時制をもう少しなんとかしよう
読了日:05月28日 著者:久松 健一
学びとは何か-〈探究人〉になるために (岩波新書)学びとは何か-〈探究人〉になるために (岩波新書)感想
地味なタイトルに読む気が起きなかったが読んでみたら恐ろしく面白かった。学びとはなにかという抽象的な話ではなく、認知科学的に脳がどう学習していくのかという話。人はスキーマという学習像/システムを作り上げ、それに当てはめて予測したり学んでいくというのがベース。スキーマを修正して精度を深く広く育てていくが、自己修正は簡単じゃないし、スキーマに合致しない情報はスルーしたり。自分の頭の動きと照らし合わせて納得感があった。特に衝撃だったのは8か月までの幼児は例えばR/Lの音の区別が付く話。1歳になると出来なくなると。
読了日:06月13日 著者:今井 むつみ
パブリック 開かれたネットの価値を最大化せよパブリック 開かれたネットの価値を最大化せよ感想
9年前のネット本なので当時夢を語っていたものが9年経ってどうなったのかという視点でとても面白かった。プライバシーは公開するかどうかではなく使われ方がポイントというのは面白かったが、結局はEUはプライバシーデータの取得部分で規制を厳しくする結果になってたり。著者のいうパブリックさというのは9年経ってあまり実現していないかも。企業がオープンになったわけでもなく、ウィキリークスは話題にはなるけど個人の生活に影響するわけでもなく。ネットには1個人の投稿があふれているが、匿名を隠れ蓑にバッシングやクソリプが溢れたり
読了日:06月24日 著者:ジェフ・ジャービス
本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄感想
考えてみれば具体的なことを何もしらない戦争や米軍についての本。戦争しないほうがいいじゃんーと言うだけでは済まない世界がやっぱりあるのだろう。最後にジャーナリズムの限界、見える範囲が全てになってしまったり、親しくなった人に忖度してしまうみたいな話もあり、「本当の」って難しい。米軍の訓練方法や彼らの持っている知識についても知りたくなった。公開はしてないのかな?ドローンなどで闘いも変わってきてると思うが、米国の暴動鎮圧とか実際出兵はしてないと思うがまだ対人で対処する部分もあるんだろな。つらい
読了日:06月24日 著者:クリス・ヘッジズ
近江商人の哲学 「たねや」に学ぶ商いの基本 (講談社現代新書)近江商人の哲学 「たねや」に学ぶ商いの基本 (講談社現代新書)感想
文章が素人ぽくて読むのが辛かったが、内容は良かった。行っていること全て論理的に正しく、すごいように思える。この先も繁栄してくれるといい。時代や状況に合わせて変化し、社員に任せ、後継者を育成する。なかなか出来るものでもない。
デパート行ったら覗いてみよう、買ってみようという気になった。すごいな
読了日:07月04日 著者:山本 昌仁
心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)感想
著者の石川氏が89歳で亡くなられ、熱い本だとtwitterで見かけて読んでみたが熱い想いで行動力のある凄い人だった。30年前の本だけど、それから時間を経て現在なにか良くなってるのかなと考えると、作業所とかは増えてると思うけど心病む人たちが社会で共生しているとは思えず、残念な気もした。古い本を読む良さは時間がたってどうなっているかを見れる点にあると思う。(最近の状況をアップデートした本も読みたかったが、石川氏の著書には無さそう)この先も共生に向かうとはあまり思えない。社会に余裕がないと多分無理そう
読了日:07月21日 著者:石川 信義
居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)感想
面白いけどモヤる部分もかなり。いる、は会計的圧力で脅かされるという指摘もそういう側面もあるけどそれだけじゃないと思う。自分が東京のホームレスとアフリカのなにもしない人を見て感じたことを考えたい。ブラック組織に関わってしまい、組織や社会構造への課題感よりもコネを利用すべきだと反省している所は底辺ブラックとは本来縁遠いはずの自分という思いが見えて良い感じはしなかった。あと無理やりなハイテンション部分をカットしてボリュームも半分か2/3くらいに絞る方が良さそうだが好みの問題か。冗長さもいるの辛さを伝えるためか
読了日:08月09日 著者:東畑 開人
刺さる言葉: 「恐山あれこれ日記」抄 (筑摩選書)刺さる言葉: 「恐山あれこれ日記」抄 (筑摩選書)感想
数年ぶりに読む南氏の本。ブログまとめ本で面白かった。エッセイ系の良さって今までピンと来なかったが、大きなテーマについて様々な方向、方法で語られる手法と考えると使い出があるのかも。笑ってしまう部分や、お坊さんが資本主義とイスラム教について考えるのかというような新鮮な驚きもあって良かった。「ゆるく淡い(そして信頼を築くための長さがある)関係」の良さという指摘も良かった。緊密すぎると関係を壊したくないが故に言えないこともあると。色々考えてる人だけど、結局人とのやり取りから見えてくる話が良かった。それは
読了日:08月16日 著者:南 直哉
超越と実存―「無常」をめぐる仏教史―超越と実存―「無常」をめぐる仏教史―感想
ベース知識がなくて難しかったのと深く細かい部分への興味が持てなかったのもありほぼ流し読み。もう少し仏教知識を持ったら読めるのかも。師の理屈と市井の人は関係ないという話、信念を失くし理屈を使うこと、宗教を盲信できる人への羨ましさ、盲信により楽になることへの猜疑というエピローグが良かった。仏教思想と流れを知りたいならもう一段入門編を読むほうが良さそう。考え抜いてる人向けの本
読了日:08月30日 著者:南直哉
測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?感想
定量データでの評価・目標は弊害もあるよという話で、驚きというよりは、だよね、という話だった。定量データを採ったり分析するにはコストがかかるし、改竄やモチベ低下にもつながるというのは、そりゃそうでしょという思いしかないけど、定量万能的な流れになんとなく違和感を覚えていた部分を言語化してもらえた感じ。むしろリーマンショックの背景の解説が情報としては良かった。アメリカ金融の一部が分かった感じ。だよねーという本で、この考えが世間的に採用されなければ一部の愚痴にしかならないので、広く広まって欲しいがどうだろ
読了日:09月22日 著者:ジェリー・Z・ミュラー
「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動か す「直感・驚き・物語」のしくみ「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ感想
分かりやすい親切さを狙いすぎなのか、文章や本のテイストがどうにも受け付けなくて、最後まで読むのが辛かった。内容自体はまあ面白く、「マリオを右側に動かす」のをデザインだけで分からせるとか、ゲームってこんなに考えて作ってあるのかと感心したけれど、マリオにすらハマれずゲームが楽しめない自分にとっては何とも言えない情報の塊だった。他で応用できる部分もあるんだろうけど自分には難しいな。ゲーム好きが読んだら面白いのかな。
読了日:09月24日 著者:玉樹 真一郎
ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのかステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか感想
非常に面白かった。ネガティブなステレオタイプに追随してしまうという恐怖が意識してなくても血圧に現れたり、そんなに影響あるかな?とも思ったがそればかりを考えてしまい、使えるワーキングメモリが少なくなるからという説明は納得。それであれば日々誰にでも起こる。一方でそうなる理由が日本人であればネガティブなものであってもそのステレオタイプ期待に応えなければというプレッシャーが強いと思うがその点は本書では全く問題にされていなったので国民性で違いそう。全体として前向きに書かれた本で良かった
読了日:10月12日 著者:クロード・スティール
Le Petit Prince (French)Le Petit Prince (French)感想
PDF版のフランス語をgoogle英訳して日本語にして読了。
フランス語の基礎レベルが低すぎなため、2年近くかけて読んだ割にはフランス語の上達はしていない実感。基礎をもうすこしやらないとダメな感じ。
話の内容を全く知らないままで読んでいたので、もう少しあらすじを押さえてから読んだ方が楽しめたかもしれない。途中まで我儘な子供の話かと、フランス語の分からなさも相まってイライラしたが、こんな悲しい結末だと知っていたらもうすこししんみり読めたのかも。
読了日:10月20日 著者:Antoine De Saint-Exupery
星栞 2021年の星占い 水瓶座 (一般書籍)星栞 2021年の星占い 水瓶座 (一般書籍)感想
占いをいくら読んだところで仕方ないと思いつつ、つい買ってしまった(笑) 石井ゆかりの序文が良くて、「コロナを予測も回避も出来なかった占いに何の意味があるのか?生き続ける限り人は希望が必要だから」というようなことが書かれていて、自分で占いを否定してから希望につなげるとは流石。占いにすがっちゃう人も救いつつ、占いが絶対ではないとも伝えてることになるし、すごいな。という訳で明日の希望が必要なので占いを読みます笑
読了日:10月21日 著者:石井ゆかり
二百十日・野分 (新潮文庫)二百十日・野分 (新潮文庫)感想
昔読んだときは二百十日が好きだったが今回は野分が非常に面白かった。
二百十日は男性友人2人組が穴に落ちた話で、金持ち批判とか主張内容はあまり興味が湧かなかったが2人ののんびりとした遣り取りと、対照的に山の厳しい天候と穴に落ちるハラハラ感は再読しても楽しい。野分は主張自体も面白く、現代でも変わっていない煩悶と変わらない世の中だな、と。下女や妻への上からの差別的態度や清潔ではない時代の描写が気になってしまった。時代が違うから気にしたくないのだけど。最後の高柳君が人の原稿を貰った金で買うのは逃げで残念

読了日:11月24日 著者:夏目 漱石
高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)感想
恋愛娯楽小説として非常に面白かった。面白かったが、あまりに普通に娯楽小説な気がして(娯楽でいいんだけど)、なぜこれが200年も読み継がれているのか?が良く分からなかった。原書版も読み進めてるが原書は最後まで読まなくてもいいかなという気になってしまった。長いし。。今でいう、付き合い始めるかどうかのスタート地点が当時だと結婚になってるようで、その結婚もまず双方のお金が一番のポイントというのが興味深かった。現実的である意味現在よりも正解なようなw 最後は姉妹2人がハッピーエンドで良かった。
読了日:11月30日 著者:ジェイン オースティン
高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)感想
感想は上巻に。
読了日:11月30日 著者:ジェイン オースティン
3年の星占い 水瓶座 2021-20233年の星占い 水瓶座 2021-2023感想
どの占いも何故かさっぱり頭に残らなくて、文章が理解出来ているのか出来ていないのかすら分からないのだけど、また買ってしまった(笑) 石井ゆかりの言葉は心地いい(そして覚えていない)。夢ってすぐ忘れてしまうけど占いと夢は似てるのかも、と思ったり。この数日は星が大きく動く時期とあちこちで言われているけど、個人の生活は何も変わらず。それでも良い一年になりますように
読了日:12月22日 著者:石井ゆかり
硝子戸の中 (新潮文庫)硝子戸の中 (新潮文庫)感想
年末に読むのに雰囲気がぴったりの本。と思って読んでいたらやはり年明け1か月で書かれた随筆。訪れる人々、おかしな人、昔の記憶、昔の東京の街並み、徒然と考えることなど、静かに漱石の文章に触れられる本、良かった。美人に弱い漱石も良かった笑。1編2-3ページで話題が変わっていくので、1日1,2編ずつゆっくり読んだ。漱石好き
読了日:12月30日 著者:夏目 漱石

読書メーター

コメント

タイトルとURLをコピーしました