さて日本語文法一覧表の後半、日本語中上級編(日本語検定N3、N2、N1のレベル)です。
文法を恐れるな
一般的に、文法には「難しい」というイメージがありますね。
英語学習にしても、日本語学習にしても、文法における苦手意識というものがあるように思います。まあ、「仮定法過去」「関係代名詞」とか馴染みのない用語が難しい雰囲気を醸し出していますよね。
前回の日本語初級編(日本語検定N5、N4のレベル)では、助詞の種類やら動詞の活用はありましたが、文法の項目が思ったより少ない、と思いました。上級編でどんどん難しい文法が増えるのかなと思ったのです。
しかし、今回の中上級編を眺めてみると、文法らしい文法はほとんどありません。あるのは延々と続く細かい言い回しの数々です。
もしかして、日本語の文法は種類が少ないんでしょうか?
でも考えてみれば、英語の文法も、大きな柱としては時制や受け身などで、そんなに種類はないように思いますね。
語学学習の肝は?
実は、言語学習における「文法自体のボリュームはそう大きくない」のではないでしょうか?
なんとなく「文法は大変」「文法は難しい」というイメージで捉えていましたが、語学学習において大変なのは、文法そのものではない?
大変なのは、単語や実際の使い方、原則に従わない例外、細かい言い回しのニュアンスの差、など「覚えるべきものが細かく、膨大にある」ことではないでしょうか。
語学学習の肝は、文法ではなく、膨大な学習量と記憶・・・!
決して文法を軽視している訳ではなく、もちろん文法は大事です。ただボリュームは大きくない。語学学習の本丸は、文法ではなくその先にある、のではないでしょうか。
ただ、そう言ってしまうと英語産業周辺が成り立たずに困ってしまうので、そうハッキリは言われていない。文法を難しく見せておく方が都合のよい人々が居るのではないか・・・!(突然の陰謀論)。
上級への道はニュアンス
以下の表でも、日本語レベルが上がるN2・N1になるほどその傾向が分かりますね。大きな文法の話はなく、細かなニュアンスの使い分けの連続です。
そんな表現を1項目として扱うほど重要なの?たいした表現じゃなくない?と日本語については思ってしまいますが、それは多分知っているからなんでしょう。
逆に英語の表現の違いであれば、いちいち説明してもらわないと分かりません。
日本語でも英語でも、中級以上になると文法は増えず、むしろ似た表現のニュアンスの差を使い分けることが中心になっているのでしょう。
日本語と英語の文法リストを眺めての、改めての気付きでした。
道のりは簡単ではないですが、語学上級を目指す方々は文法はさっさと片付けてニュアンスマスターを目指したいですね。
お役立ち英語教材
ここで、アマゾンで売れてる英語教材本を見てみました。
いまはYoutuberの本が断然人気ですね。
YouTubeで見て、その人を信頼して、本が出たら本を購入、って非常によく分かる流れですね。
動画でその人のことを見続けていると、ファンになるし信用できますよね。という訳で英語系Youtuberの本2冊ご紹介です。どちらもレビューの数が1600件以上です。すごいですね。
A4一枚英語勉強法 見るだけで英語ペラペラになる
1冊目はこちら。大人気英会話講師Youtuberのニック・ウィリアムソンさん。
「英語がペラペラに」ってやっぱりパワーワードですよね。ペラペラになれるのか・・・、いいな。って思っちゃいますよね。
A4というのも、赤羽雄二氏のゼロ秒思考を昔読みましたけど、内容詳細は覚えてませんがそこでもA4の紙を勧めてました。A4と脳の親和性が高いとか、そういうことでしょうかね。
もう一冊は、ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法、Kazu Languagesさん。
12か国語も必要な方は多くないと思いますが、そんなにマスターされた方の言う事は気になります。参考になりそうです。
英語と比べる日本語文法:中上級編(N3〜N1)
さて、ここからが本題の日本語中上級編(日本語検定N3、N2、N1のレベル)一覧表です。
英語話者向けの英語バージョンはこちら。
ちなみに、前編の日本語初級編(日本語検定N5、N4のレベル)の英語バージョンはこちら。日本語版はこちらです。


| 動詞アスペクト――動作に意味を加える N3 | ||
|---|---|---|
| 文法項目 | 意味・使い方 | 英語との違い |
|
〜てしまう
(te shimau) 完了・後悔
|
食べてしまった (tabete shimatta) — “ended up eating / ate it all (unfortunately).” 動作が完了したことを表し、しばしば後悔や取り返しのつかなさを含む。 | 英語では “ended up -ing” や “went ahead and…” と表現する。日本語は動詞の後ろにしまうをつけるだけで、この意味を内包できる。 |
|
〜ておく
(te oku) 準備・そのままにしておく
|
準備しておく (junbi shite oku) — “prepare in advance (for later).” また:そのままにしておく — “leave it as it is.” | 英語では “go ahead and…” や “leave…” と別の語で表す。日本語は動詞に直接この意味を付加できる。 |
|
〜てみる
(te miru) 試しにやってみる
|
食べてみる (tabete miru) — “try eating (to see what it’s like).” 結果を確かめるために試みることを示す。 | 英語の “try -ing” に似ているが、〜てみるは難しいことへの挑戦というよりも、好奇心や実験的な意味合いが強い。 |
|
〜ていく/〜てくる
(te iku / te kuru) 時間的な変化
|
寒くなっていく (samuku natte iku) — “is getting colder (going forward).” 寒くなってきた (samuku natte kita) — “has been getting colder (up to now).” | 英語では “keep -ing” や “has been -ing” と表す。日本語は移動の方向(行く・来る)を時間の方向のメタファーとして使う。 |
| 様態・伝聞・推量の表現 N3 | ||
|---|---|---|
| 文法項目 | 意味・使い方 | 英語との違い |
|
〜ようだ
(you da) 〜のようだ(観察に基づく推量)
|
雨が降ったようだ (Ame ga futta you da) — “It seems it rained.” 直接的な証拠(濡れた地面など)に基づく判断。 | 英語の “seems” は以下3つの表現をすべてカバーする。日本語は証拠の出どころによって使う表現が異なる。 |
|
〜らしい
(rashii) どうやら〜らしい/〜と聞いた
|
雨が降ったらしい (Ame ga futta rashii) — “Apparently it rained.” 伝聞や間接的な情報に基づく。 | 英語の “apparently” や “I heard that” に相当する。また典型的な特徴を表す用法もある:男らしい (otoko-rashii) — “manly.” |
|
〜そうだ
(sou da) 〜しそうだ/〜だそうだ
|
2つの用法:(1) 雨が降りそうだ (Ame ga furi sou da) — “looks like rain”(視覚的な判断)。(2) 雨が降ったそうだ — “I heard it rained”(伝聞)。 | 形は同じでも意味が2つある。(1)は動詞の語幹に接続し、(2)は普通形に接続する。 |
| 目的・理由・対比 N3 | ||
|---|---|---|
| 文法項目 | 意味・使い方 | 英語との違い |
|
〜ために
(tame ni) 〜するために/〜のために
|
日本語を勉強するために (Nihongo o benkyoo suru tame ni) — “in order to study Japanese.” また:病気のために (byooki no tame ni) — “because of illness.” | 目的(〜するために)と原因(〜のために)の両方をカバーする。どちらの意味かは文脈と動詞の形で判断する。 |
|
〜ように
(you ni) 〜するように/〜できるように
|
聞こえるように話す (Kikoeru you ni hanasu) — “speak so that people can hear.” | 〜ためにに似ているが、目標が状態や能力である場合に使う。間接的な依頼にも使われる:早く来るように(早く来てほしい)。 |
|
〜のに
(no ni) 〜なのに(不満を伴う逆接)
|
頑張ったのに、失敗した (Ganbatta no ni, shippai shita) — “Even though I tried hard, I failed.” | 英語の “even though” に相当するが、失望や不満の気持ちが強く含まれる。中立的な逆接とは異なる。 |
|
〜ば〜ほど
(ba∼hodo) 〜すればするほど
|
勉強すればするほど (Benkyoo sureba suru hodo) — “The more you study, the more…” | 英語の “the more…the more” に直接対応する。同じ動詞が条件形と普通形の2回現れるのが特徴。 |
|
〜だけでなく
(dake de naku) 〜だけでなく〜も
|
英語だけでなく、日本語も (Eigo dake de naku, Nihongo mo) — “Not only English, but also Japanese.” | 英語の “not only…but also” に直接対応する。フォーマルな場面でも日常会話でも使われる。 |
| ニュアンスのある表現と形式的な接続表現 N2 | ||
|---|---|---|
| 文法項目 | 意味・使い方 | 英語との違い |
|
〜わけだ
(wake da) つまり〜ということだ
|
10年日本にいたわけだ (Juu-nen Nihon ni ita wake da) — “So that means you were in Japan for 10 years.” | 英語の “so that means…” や “no wonder” に相当する。話し手が論理的な結論に至ったことを示す。 |
|
〜わけにはいかない
(wake ni wa ikanai) 〜するわけにはいかない(社会的な制約)
|
遅刻するわけにはいかない (Chikoku suru wake ni wa ikanai) — “I can’t afford to be late.” 物理的な不可能ではなく、社会的・道義的な制約を表す。 | 英語の “can’t” は物理的な不可能も社会的な制約も同じ語で表す。日本語はこの2つを区別する:できない(物理的にできない)vs. わけにはいかない(社会的に許されない)。 |
|
〜にもかかわらず
(ni mo kakawarazu) 〜にもかかわらず
|
雨にもかかわらず (Ame ni mo kakawarazu) — “Despite the rain.” 〜のにより改まった表現。 | 英語の “despite” や “in spite of” に相当する。書き言葉や改まった場面で使われる。 |
|
〜に対して
(ni taishite) 〜に対して/〜に比べて
|
彼に対して (kare ni taishite) — “toward him / regarding him.” 対比にも使う:Aに対してBは… — “Whereas A, B…” | 英語では “toward”・“regarding”・“in contrast to” と3つの別々の語で表すものを、に対してひとつでカバーする。 |
|
〜をはじめ
(o hajime) 〜をはじめ〜など
|
東京をはじめ、大阪や京都も (Tookyoo o hajime, Oosaka ya Kyooto mo) — “Starting with Tokyo, also Osaka and Kyoto.” | 英語の “including” や “such as…and others” に相当する。名前を挙げたものが最も代表的な例であることを含意する。 |
|
〜さえ〜ば
(sae∼ba) 〜さえあれば/〜しさえすれば
|
お金さえあれば (Okane sae areba) — “If only I had money / As long as I have money.” | さえは「この条件一つで十分だ」と強調する。英語の “if only” や “as long as” に相当する。 |
|
複合的な敬語(謙譲語II)
kenjoo-go II
|
申す (moosu) — 言うの謙譲語。参る (mairu) — 行く・来るの謙譲語。改まった場面で自分を低めるために使う。 | 英語には文法的な謙遜のシステムはない。日本語には社会的な上下関係を示すための動詞の置き換えセットが存在する。 |
| 書き言葉と細かい使い分け N1 | ||
|---|---|---|
| 文法項目 | 意味・使い方 | 英語との違い |
|
複合助詞
fukugoo-joshi
|
〜をめぐって (o megutte) — 〜をめぐって(論争など)。〜にわたって (ni watatte) — 〜にわたって(期間)。〜に際して (ni saishite) — 〜に際して(機会)。 | 英語の前置詞は単語1語で表すが、日本語は助詞と動詞・名詞を複合させて細かい前置詞的な意味を表現する。ニュースや公式文書で多く見られる。 |
|
書き言葉の表現
kaki-kotoba
|
〜につき (ni tsuki) — 〜のため/〜あたり(例:工事につき通行止め)。〜をもって (o motte) — 〜によって/〜をもって(例:本日をもって閉店)。 | ほぼ公式な書き言葉や案内文にのみ登場し、日常会話ではほとんど使われない。英語でも同様に改まった表現に相当する。 |
|
文語的な条件形
bungo-teki jooken-kei
|
〜ならば (naraba) — もし〜であるならば。〜とすれば (to sureba) — 〜と仮定すれば。〜たらや〜ばだけより改まった、または仮定的なニュアンスが出る。 | 英語は “if” 一語でどんな場面でも条件を表せる。日本語には文体によって異なる条件形があり、論述や公式な文章で使い分けられる。 |
|
似た表現の細かい使い分け
|
例:〜にしては vs. 〜わりには vs. 〜のに はどれも「〜を考えると/〜にもかかわらず」を表すが、驚きの度合い・含意する対比・文体が異なる。 | N1レベルになると、文法形式そのものを知っているかどうかより、適切なものを選べるかどうかが問われる。習熟度とは、新しい構造の習得ではなくニュアンスの把握を指す。 |
N5〜N4:文の構造を作る。N3:動詞にアスペクトとニュアンスを加える。N2:フォーマルな接続表現と社会的制約の表現。N1:書き言葉・複合助詞・類似表現の細かい使い分け。
参考用にAI補助により作成しています。内容は各自ご確認ください。
