2020年5月3週目のアフリカ最新ニュース: 米国呼吸器寄贈、チュニジア衛星、アフリカ海底ケーブル、アフリカ考古学の感染症、トップ上場企業ランク、ナイジェリアコロナ対策、アフリカCDCのトップ

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2020/5/13-5/19に取り上げたアフリカ最新ニュースです。
Twitter(@BlueBaobabBar)や
Facebook(https://www.facebook.com/cafebarbluebaobab/)でアフリカ記事をほぼ毎日ひとつ紹介していまして、そのまとめです。
この週はコロナ以外にテック系の話題も少々。
チュニジアが自国製の人工衛星を作る話(でもロシアがサポート)、
Facebookがアフリカ・中東に海底ケーブルをぐるっと敷く話、
今年のアフリカ系上場企業ランキングで南アが強い話。
コロナ関連では
アメリカが南アに呼吸器を千個寄付する話、
昔のアフリカ社会も感染症対策をしていたという考古学の話、
ナイジェリアのコロナタスクフォースが美しい官邸で大統領に報告する話、
アフリカCDCのトップはカメルーン人エリートでHIV研究者という話などです。

#アフリカ 520 2020/5/13 【米国が南アに人口呼吸器1000個寄贈】

米国が南アに人口呼吸器を寄贈するという話。
米国も州によっては足りないと言ってた気がしますが、あちこちに送るよう。
こういうのはWHOとは別の個別の国の取り組みなんですかね。
「寄贈は南アが1つめの国」と言ったら、メキシコが「もうもらった」と言い出したり、情報が錯綜しているのかマウンティング合戦なのか分かりませんw
南アではロックダウンでDVも増えてるそう。世界的に増えてるようですが、南アはもともと暴力件数多かったし心配です。
アフリカ全体での感染者は増えてますが死者数はあまり増加してませんね。若いからかマラリア薬なのかそれ以外の要因があるのか分かりませんがこのまま維持してほしいです
◆5月12日時点のアフリカコロナ状況 by アフリカCDC
・感染者数 67,957名、死者2,340名
・回復者 23,184名

・南アフリカはアフリカ大陸でもCovid-19に積極的に取り組むモデル国
  検査数、回復者数などにおいて
・ラマポーサ大統領は経済緩和策を志向
  アフリカで最も包括的な施策と言われる
・3週間のロックダウンに2週間の延長しているが
  特定地域での感染件数の増加と店舗での万引き、家庭内暴力の増加もみられる
・南アの5/12時点のデータ
  感染者11,350人、検査件数 369,697人、死者206人、回復者4,357人
  感染者の多い地域:ハウテン州、西ケープ、東ケープ、クワズール・ナタール州
・アメリカは南アに最大千個の人口呼吸器を寄贈する。諸々込みで2千万ドル相当
  トランプ政権は、必要な国に充分な対応をしていないとの非難を受けていた
 「南アがこの最先端装置を受け取る最初の国だ」by 米国大使館
 ->しかし先週メキシコは米国から211個の呼吸器をトランプから受け取ったと述べた
・アメリカは今後世界の他の国にも寄贈予定
  国内のコロナ危機のため出荷が遅れたとのこと
  7月末までに世界に8千の人口呼吸器を送る予定
  一つ5千ドルから3万ドル(モデルによって価格は異なる)の費用を
  国によっては支払うのかは不明
・トランプはここ最近で南ア、エチオピア、ナイジェリア、ケニアのリーダーと話をした
 先週トランプは「ナイジェリアと話をした。250個の呼吸器を送る」と述べた
 ツイッターによるとエチオピアも呼吸器が欲しいとのこと
 
・アフリカ南部の国々は自分たちで必要機器の製造開発を始めた
 いままでは輸入に頼ってきた部分
 
・アメリカからのコロナ対策での南アへの支援はトータルで4100万ドルにのぼる
South Africa coronavirus: US gives 1,000 ventilators; cases pass 11,000
https://www.africanews.com/2020/05/12/south-africa-coronavirus-daily-updates-on-covid-19/
https://africacdc.org/covid-19/

#アフリカ 521 2020/5/14 【チュニジア初の自国製人工衛星】

チュニジアが自国で人工衛星を開発している話。
といってもロシアのサポートが入ってます。
エチオピアは中国の支援で衛星打ち上げてましたし、大国が裏にいるのは常なんでしょう。
衛星の用途として「国境近くの家畜のトラッキング」というのはお国柄ですね。
本筋ではないけど驚いたのが「民主主義とテクノロジー」の2つが世界の評価軸だとこの会社の人が言っていること。
もともと民主主義の国だとピンと来ないですが、革命で勝ち取るものだと違うんでしょうねえ

・アフリカの宇宙産業は年間70億ドル(7千億円)規模と盛ん
・過去21年でアフリカ8か国で32基の人工衛星が打ち上げられた
  うち3基はアフリカの組織が財源
・自国での開発も増えており、チュニジアは「チャレンジ・ワン」と名付けた衛星を開発
・ロシアの支援を得て、チュニジア企業TELNET社が開発
  ソユーズ2から11月に打ち上げ予定
・TELNETは今後10年で30以上の極小衛星打ち上げを目指す
・「衛星を買うのではなく自分たちで開発している。
 ナノ衛星やIOTでソ連とチュニジアのゲートウェイとなる」
・衛星の各機能はTELNETの研究所からコントロール可能になる予定
  サハラのソーラーポンプを遠隔操作したり、チュニジアとアルジェリア・リビア国境付近の家畜追跡などに利用予定
・「チュニジアの改革以降、アラブかつイスラム教国でも民主化に成功出来るということを世界に示してきた」
・「世界は、民主主義、そしてテクノロジーという2つが評価軸になっている。
 このプロジェクトでチュニジアの良いイメージを広め、テクノロジーで先端に行けるということでチュニジア国民の自信を高めたい」
Challenge One: Tunisia’s first homebuilt satellite
https://www.africanews.com/2020/05/13/challenge-one-tunisia-s-first-homebuilt-satellite/

#アフリカ 522 2020/5/15 【FBと通信会社 アフリカと中東に広範な海中ケーブル敷設】

Facebookと複数通信会社が共同でアフリカと中東に海底ケーブルを敷くそう。
マップを見るとアフリカ大陸をグルっと囲みますね。
こういうのって一つあれば良いわけじゃなくて、各社がやってるんですね。Googleも去年取り組んでました。
で中国のファーウェイは世界中にケーブルを敷設してて、米国はスパイ行為を懸念してるようですが、ファーウェイはあちこちから攻めてますね。ぬかりなくて感心します
地球の外周は4万キロのようですが、世界全体での海底ケーブルは120万キロ。海底がケーブルで埋め尽くされてるんじゃw

・Facebook、中国国際モバイル、MTN、Orange、ボーダフォンが共同で
 広範な海中ケーブルを敷設する
 ->いまだオフラインのアフリカ・中東の10万人向け
 
・「2Africa」プロジェクト:ケーブル3万7千キロ、
  エジプト経由でヨーロッパとサウジ経由で中東をつなぎ、アフリカ16か国21か所に接着
・2023年か2024年初めに稼働予定
  現在のアフリカ全体の海底ケーブルの総量より多く供給、最大180Tbps
・サウジの通信会社STC、テレコムエジプト、アフリカ通信会社WIOCCなど
 2Africaのケーブルが届く場所ではキャリアに寄らないデータセンターや
 オープンアクセスのケーブル敷設ステーションが利用可能に
・投資額は明らかにしていない
・Facebookのネットワークインフラ副代表「進行中のアフリカ投資の重要な一つで
 アフリカに高速オンラインを届ける。オンラインアクセスの向上で
 教育やヘルスケアにも良い影響を与える」
・世界全体での海底ケーブルは75万マイル(120万キロ)
・Google、マイクロソフト、Facebook、アマゾンは海底ケーブルの半分近くを保有/リース
・Googleは昨年欧州とアフリカをつなぐ海底ケーブルEquianoに投資、2021年に第一フェーズ完成予定
・2AfricaもEquianoもノキア子会社Alcatel Submarineが敷設担当
・2018年中国のファーウェイはブラジルーカメルーン間に3750マイルのケーブル
 昨年は欧州、アジア、アフリカをつなぐ7500マイルのケーブル敷設を開始
 メキシコのカリフォルニア湾をつなぐケーブルも昨年完成
 ->一部の米国高官はファーウェイによるスパイ行為を懸念
Facebook, telcos to build huge subsea cable for Africa and Middle East
https://techcrunch.com/2020/05/14/2africa-africa-middle-east-facebook-subsea-cable/

#アフリカ 523 2020/5/16 【考古学で分かる古代アフリカ社会の感染症対策】

考古学研究によって、昔のアフリカ社会もパンデミックに対処してきたことが分かるという話。
パンデミックが起きたら、元の場所は燃やして新しい場所に移るとか、死者には触らないとか、感染者は隔離するとか、
集落でも多少離れて暮らすとか。
日本だと遷都がありますし、世界中でこういう歴史はありそうですね。
近年先進国では忘れていただけで、人間の歴史と感染症は長い付き合いなんでしょう

・考古学研究により
 ・14世紀初頭のガーナ、Akrokrowaの部落は感染症流行により打ち捨てられた
 ・南アのマプングブエMapungubwe世界遺産は76名の幼児が埋葬されている
   1000年ごろの感染症流行のためとみられる
   
・感染症対策の様子も見て取れる
  感染を抑えるために部落は焼かれ、新しい場所へ移動
  部落の分散によりソーシャルディスタンスをとる
・南ジンバブエでは死者に触れることはタブー 病気がうつるので
・南アでは13世紀の居住地の発掘で埋葬跡がみつかり
  1960年代だったが発掘作業を放棄した考古学者らも。感染症による埋葬だと懸念
・17-18世紀のジンバブエのショナ族は
  ハンセン病患者を一時的な居住地に隔離。時には流行を防ぐために遺体を火葬
・マプングブエMapungubweの世界遺産 紀元1000年ごろ
 ・農業、畜産、金、猟、森での収穫などで栄えた
 ・インド洋沿岸で海外交易も
 ・発掘作業で通常より多い埋葬跡が見つかる
   94体の遺体、うち76体は4歳以下。死亡率5%
   ->埋葬と同時にこの地区は捨てられたことを示す証拠も
   ->パンデミックによるもの
・ガーナ南部のAkrokrowa (AD950-1300)
 ・ガーナの他の居住地同様に複雑な堀で囲まれた場所
 ・調査によるとこの居住地は数百年続いた後、突然遺棄された
  ->ヨーロッパでの黒死病流行時期と重なる
 ・流行が終わった後も、同じ場所での再建はせずに別の場所へ
  ->考古学者らはこういったコミュニティはパンデミックに対応できていたとみている
 ・元の場所や森は燃やす ->パンデミック対策になる
 
・居住地区の配置も大事
  ジンバブエ、モザンビークの一部では1つの建物に1-2家族になるよう分散
  ->人との距離をとれる。しかし日常生活に不自由ない程度には近く
・果物、根菜、そのた様々な食品から栄養を取ることも免疫を高めるのに役立っていた
・昔からアフリカでは感染症と共存
Archaeology shows how ancient African societies managed pandemics
https://theconversation.com/archaeology-shows-how-ancient-african-societies-managed-pandemics-138217

#アフリカ 524 2020/5/17 【2020年のアフリカトップ上場企業ランク250!】

今年のアフリカ系上場企業の時価総額ランキング。
コロナや原油価格で今後変化もあると思いますが、南アの企業がとにかく強いですね。
上位はほぼ南アで北アフリカが少々。ケニア、ナイジェリアがたまに出てくる感じ。
分野としては南アのテック系Prosusがダントツで、金融、鉱物系。
全体として2015年をピークに時価総額総計は下がっているよう。

・アフリカ企業とアフリカをターゲットにした上場企業の時価総額のランキング
・今年の民間企業の時価総額規模合計は5977億ドル(約60兆円)、昨年より18%ダウン
  ピークの2015年と比較で37%ダウン
  
・コロナと石油価格下落でGDPの見通しは低下
・構造変化
  2019年は上位分野はメディア、金融、鉱物採掘がそれぞれ14%ずつ
  今年はテック系のProsus1社だけで19%、次が金融(銀行と保険を除く金融サービス)が15%
  次が鉱物採掘の14%、メディアは10%。通信系7%
・長期的な希望としてはAfCFTAアフリカ自由貿易圏での国際間貿易や投資の増加
TOP250 ランキング
1位Prosus テック 南ア
2位Naspers メディア 南ア
3位Financiere Richemont 嗜好品 南ア
4位Anglo American 鉱物採掘 南ア
5位Anglo American Platinum 鉱物採掘 南ア
Africa’s Top 250 Companies in 2020
https://africanbusinessmagazine.com/top-250-african-companies/africas-top-250-companies-in-2020/
250社のリスト
https://africanbusinessmagazine.com/wp-content/uploads/2020/05/AB_0520_Top-250-Companies_compressed.pdf

#アフリカ 525 2020/5/18 【ナイジェリアのCovid-19 タスクフォースチーム報告】

美しいものを観たい方に、ナイジェリアの官邸を。
明るく広々とゴージャスでいいです。ディスタンスもばっちりです。
マスクの紐をそう掛けるのかという驚きも。。
コロナ対策タスクフォースの大統領報告会だそう。会議中のお茶や水は出ないんですね。ブハリ大統領もちゃんとメモ取ってます。ナイジェリアは人口2億人と多いので感染者もそれなりに出てます。
先日カノ州では謎の死者多数というニュースもあったのですが、なんだかよく分かりません。政府から食料支援はするよう。



・ナイジェリアのブハリ大統領は日曜夜、官邸で大統領直轄タスクフォースチームからの週次報告を受けた
・参加者は官房長官兼チームリーダー、保健大臣、ナイジェリアCDCリーダーなど
・アフリカ最大人口のナイジェリアのコロナ対策はこのタスクチームによって動く。日次でナイジェリアの状況をアップデートしている
・5/18時点のナイジェリア状況 
・感染報告者数 5,959 名(新規増加338名) 
・回復者1,544名、死者182名、進行中4,183名
その他
・カノ州高官らはコロナ対応で給与の半分を寄付
・英国の飛行機を規制違反のため捕えた
  人道的活動のため許可を出していたが商業飛行したとして
・人道支援大臣はカノ州に政府からの食料供給
・ラゴスはロックダウン解除の条件を説明
Nigeria coronavirus: 5,959 cases, Task Force briefs Buhari
https://www.africanews.com/2020/05/18/nigeria-coronavirus-hub-updates-covid-19/

#アフリカ 526 2020/5/19 【アフリカCDCのトップ】


コロナと戦う人々の紹介シリーズで、今回はアフリカCDCのトップの方。
カメルーン出身のウィルス学者でHIV研究が専門のJohn Nkengasongさん。
ベルギーやブリュッセルで学位を取って、欧米の研究所で働いた後、2016年にアフリカに戻ってアフリカCDCのトップに就いたそう。優秀なんでしょうね。発言も慎重です。

・アフリカでcovid-19と戦う技術系高官を紹介
・アフリカCDC局長John Nkengasong ジョン・ンケンガソン博士
 ・30年近いキャリア
 ・アフリカ連合AU所属
 ・欧州で訓練を受け、勤務経験。米国でも勤務経験
 ・2016年からはアフリカに戻り、アフリカCDCの局長
 ・カメルーン人のウィルス学者
 ・アフリカCDCはエチオピアのアジスアベバに拠点
  そこで戦略指示、アフリカ各国のサポートを行う
 ・コロナがアフリカに入ってきてからはWHOと協力して対応に当たる
 ・アフリカCDCは統計学的プラットフォームを提供し、定期的な疫学レポートを発表している
 ・Nkengasong博士はベルギーの熱帯医療研究所で熱帯生物医学の修士号、
  ブリュッセル大学でウィルス学の博士号と医薬学の修士号を取得
  ハーバードケネディ学校でマネジメントとリーダーシップの証書も取得
 ・英語、フランス語を話す
 ・HIV分野の幅広い研究で有名。論文多数
 「現時点で何かを発言するのにはとても慎重になっている。
  我々の動きはゆっくりだし、特別な要因があるからだ。検査レベルは非常に低い。
  アフリカ各国は早くから国境閉鎖やロックダウンにより根本的な手を打ってきた」
「南アの対応は素晴らしい。コロナを恐れるのを止め、対応しなければならない。南アはそれをやっている。南アはデータを採り、それは規制解除に必要なものだ」
経歴詳細
https://africacdc.org/people/john-nkengasong/
Africa’s top COVID-19 technocrats: Africa CDC’s John Nkengasong
https://www.africanews.com/2020/05/18/africa-covid19-technocrats-in-frontline/

このアフリカニュース投稿について。
だいたい毎日、英語のアフリカニュース複数サイトから気になるニュースを1つ選んで
自分で日本語で要約して投稿してます。
ニュース鮮度は良いかと思いますが、翻訳間違いや内容間違いを含んでいる可能性があります。
主に自分のアフリカ情報収集と英語訓練目的で、多少皆さんのアフリカ情報のお役に立てればと思っております。
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Photo by Maksim Shutov on Unsplash

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