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神谷町のお1人様歓迎のそろカフェです。東京タワーの麓でアフリカとメンタルヘルスと色々のごちゃ混ぜを。

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1人読書会:「幸せではないが、もういい」ペーター ハントケ:何も分からないが、すごく良かった本。分からないが、それでいい。

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Twitterで流れてきた「」タグで
この「幸せではないが、もういい」という小説を見かけて、

このタイトルすごい!そしてこの地味な表紙!好きとしか思えない!と即図書館で予約。

(どういう訳か表紙画像が表示できない。。
こちらのAmazonリンクをご覧ください。)

予想通り、他に予約待ちの人も居なかったようで、昨日無事に手に入り読んだが、

やはり相当好きな本だった。

オーストリアのペーター ハントケ と言う方が作者で、ドイツ語圏では有名な作家さんのようですが全く知らなかった。ドイツ語作家といえばカフカくらい? 日本じゃあまりメジャーじゃないと思う。カフカもちらっと作中に出てた(訳注でだったかな)。

作品は淡々と、ハードな内容も含めて淡々と進み、どこかベールが掛かっているような雰囲気。分かるようで分からない、著者の客観的な筆によるお母さんの主観的な話。

160ページ程と長くはなく、最後の方に近づいてもうすぐ終わる、と思いながら読んでいたらいきなり終了して思わず「えっ」て声が出てしまった。

なんでびっくりしたのかと考えてみると、「わ、どうしよ、何も分からなかった・・!」となって狼狽した模様。

いや、分からないんです、何にも。

読みにくいわけではなく、むしろ訳文は違和感なく自然に読める素晴らしい文体で、穏やかな気持ちでするすると読めるが、でも分からない。そして分からないことも不愉快ではない。

お母さんの人生の話で、お母さんが自殺したところから始まって、お母さんの人生を追っていくというのが筋だけど、どんな本だったのか何も説明できないというか。

人の人生はそんな簡単には把握できないのでそれで良いのかもしれない。

最後にお母さんが病気になって少し治ってから自殺するが、統失とかだったのかしら。それも良く分からない。

全体を通して切ない。東欧だからとかその時代だったとか、そういうことよりも、

もっと普遍的な女の人の切なさのような。

話の本筋からは外れるけど、お母さんが自分で針で何度か堕胎する話が出てきて、昔はそういう世界だったんだろうなあ、と思ったり。

この人の別の本も読んでみたい。

翻訳は元吉 瑞枝さんという方で、訳者あとがきではタイトルについてはだいぶ苦労したことが伺える。が、本当にすごいタイトル。内容にも沿っているし、原題のイメージからも外れてなさそうだし。本文も良かったし。素晴らしい翻訳。

(好きな本ほど原書で読めたらなーと思うが、いまからドイツ語に手を出しても厳しそうなのでそこは翻訳書を楽しむ方向で。。)

読後感を一言でいうと、「分からないが、もういい」。いまいち。

「分からないが、それでいい」くらいか。

 

Peter Handke, 元吉 瑞枝, ペーター ハントケ, Wunschloses Unglück

 

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