一周回ったアフリカ愛「アフリカの描き方」ケニア人作家ワイナイナ その1

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ケニアの作家Wainainaが皮肉たっぷりの「アフリカの書き方指南」エッセイを残していまして、
なかなかスゴくて刺激的なので少しづつ紹介できたらと思います。
こういうの好きじゃない方は好きじゃないと思うので、ご注意ください。
読み手を選ぶと思います。
皮肉や捻くれたのもがお好きでない方はスルー頂くと良いかと思います。
原文はこちら。
そんなに長くない文章なので、原文を見てみるのもおススメです。
‘How to Write About Africa’, by Binyavanga Wainaina
https://granta.com/how-to-write-about-africa/
ではここから。私の日本語訳です。
「アフリカの描き方」ビンヤバンガ・ワイナイナ
タイトルには「アフリカ」もしくは「暗黒」「サファリ」という言葉を入れるように。
副題には「ザンジバル」「マサイ」「ズールー」「ザンベジ」「コンゴ」「ナイル」
「大きな」「空」「影」「太鼓」「太陽」「過ぎ去った」という言葉を入れると良いだろう。
それと「ゲリラ」「悠久」「太古」「部族」なんかも良い。
「人々」という言葉は黒人ではないアフリカ人を指し、
「あの人達」は黒人のアフリカ人を意味するので注意するように。
本の表紙や中にも、洗練されたアフリカ人の写真を使ってはいけない。
アフリカ人がノーベル賞を取るまではダメだ。
AK47銃や浮き出たあばら骨、裸の上半身、そういう写真を使うんだ。
アフリカ人の写真を使わないといけないなら、一枚はマサイかズールーか
ドゴン族の民族衣装を着た写真にしなさい。
文章を書く際は、アフリカを一つの国のように扱いなさい。
暑くて埃っぽく、牧草地が広がり、動物の群れがたくさんで、
背の高い痩せた人々が飢えている。
もしくは、暑くて湿気が多く、背の低い人達がサルを食べていても良いかもしれない。
決して明確に描いてはいけない。
アフリカは大きく、54の国があり、9億人が飢えたり死んだり、
戦ったり移動するのに忙しすぎるので
あなたの書く本は読まない。
アフリカ大陸は砂漠やジャングル、高地にサバンナ、他にも沢山のものがあるが
しかしあなたの読者はそんなことは気にしないから。
だからロマンチックに感傷的に、あいまいに書きなさい。
アフリカ人は音楽とリズムを魂の奥深くに持っていることはちゃんと示すべきだ。
そして他の人間が食べないようなものを食べることも。
お米や牛肉に小麦を食べるなんて書いてはいけない。
猿の脳みそこそがアフリカ料理であり、ヤギや蛇、昆虫や幼虫、あらゆる動物の肉もだ。
あなた自身はこういった食べ物を躊躇わずに食べられることと、
あなたが思慮深い人間であることを示すために
どうやって食べられるようになったかをちゃんと描くように。
触れるべきでない話題もある。
平凡な家庭のシーンや、アフリカ人同士の恋愛(死が絡んでいないもの)、
アフリカ人の作家や知識人の存在に触れること、
伝染性のイチゴ腫やエボラ熱にかかっていなかったり、
女性器切除を受けていない子供が学校に通ってる話なんかは
タブーだ。
本全体としては、読者を巻き込む”ささやき声”を使いなさい。
期待しすぎてしまって悲しいという感じで。
自由主義は完璧だと早い段階で表明し、
アフリカをどれだけ愛しているかも、なるべく冒頭で触れなさい。
どうやってアフリカに恋したのか、アフリカ無しでは生きていけないことも。
アフリカは愛する唯一の大陸だから、それをちゃんと利用しなさい。
あながた男性であれば、アフリカの温かな原生林に身を差し込み、
女性であれば、木々をまとい、夕陽に消えていく男のようにアフリカを扱いなさい。
アフリカは哀れまれ、崇拝され、支配されるべきものだ。
どのような角度から描くにしても、
あなたの介入や、あなたの大事なその本無しでも
アフリカは運尽きているという
強い印象が残るように描きなさい。
(続く)

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